茂は重い腰を持ち上げ、冷蔵庫の前に立った。


「でも分からんぞ。この部屋には空白の時間があったんだ。現に梯子も無くなってしまった。飲むんなら良く確かめたほうがいいぞ」


「そんなふうに言われたら、飲めないじゃないか!」


茂は、折角開けた冷蔵庫の戸を、力任せに閉めた。バンッと怒気を込めた音が反響する。


「そんなに怒らないでよ……もっと冷静になって、いろいろ考えて見ましょう――ねぇ、なんで私達ここに集められたのかな?」


「うーん……良くは分からないけど、山田さんたちは罪人って言っていたよな?」