俯き、かなり落ち込んだ。床の真っ赤な絨毯を見つめていると、冬馬と楽しんだイベント事が次々に思い出された。
――初デート、誕生日、クリスマス、そして初めて体を……なにも意味がなかったんだろうか。こんなに早く別れが訪れるなんて――。
「ご、ごめん、久実。こんな考えもあるぜ? なかなか別れを切り出さない優柔不断の冬馬のために、直子はCDが落ちているかのように装った。どうだ、面白いだろう?」
「ちょっと。ふざけないでよ陸也! 私はそんな、せこい真似はしないわ!」
直子はプライドの高い女……する訳がない。同じ女の私には分かる――このCDは本物だ。直子が用意したものじゃない。
「今は仕事中だぞ? もうこの話は一先ず、忘れようじゃないか?」
――初デート、誕生日、クリスマス、そして初めて体を……なにも意味がなかったんだろうか。こんなに早く別れが訪れるなんて――。
「ご、ごめん、久実。こんな考えもあるぜ? なかなか別れを切り出さない優柔不断の冬馬のために、直子はCDが落ちているかのように装った。どうだ、面白いだろう?」
「ちょっと。ふざけないでよ陸也! 私はそんな、せこい真似はしないわ!」
直子はプライドの高い女……する訳がない。同じ女の私には分かる――このCDは本物だ。直子が用意したものじゃない。
「今は仕事中だぞ? もうこの話は一先ず、忘れようじゃないか?」


