――でも直子だけには渡さない……あんなぶりっ子女に負けてたまるものですか。


「わあああああ!!!!」


突然の茂の叫び声に反応し、全員の体が凍りついた。


「し、茂なんだよ……驚かすなよ」


「だって、へ、変な声が入っていたんだ……」


近くにいた冬馬の声に、ヘッドホンを外しながら茂は答えた。寒い部屋なのに、額には油汗が滲んでいる。


「茂は、いっつもびびりやなんだからなぁ……3台目も取り付け終了したぞ。茂、ちゃんと映るか確認してくれ」


「陸也……確認するけど、ちょっと待った。さっきの声が録音されているかも知れない」