その一言で、完全に完璧に先輩はキレてしまった。

先輩がキレているのに後輩は気づいたらしい。

ニヤニヤと先輩のほうを見ている。

そう。先輩は学校一にて天下一の逆ギレマスター(後輩が勝手に命名)なのだ。

「一日に百八回怒る」という逸話があるほどなのだ。

数学の時間に指名されてキレる。

靴が取り出しにくくてキレる。

パソコンの「Delete」のキーが押しにくくてキレる。

先輩はそういう人物なのだ。

しかも怒るとすぐ顔にでる。あと手が出る。

しかし、怒りの持続時間は長くても数秒である。

だが・・・今回の場合はちょっと追撃が多すぎた。

先輩はキレながら叫んだ。


「ふざけんじゃねえ!!もう自分は帰る!!!」

周りの空気が一瞬にしてシン、となる。

流石逆ギレマスター、と後輩が小声でニヤニヤしながら呟いた。

「・・・9月8日日曜日、体育館にて」

そう静かに愛川が呟く。

「私たち+4人VSあんたたちの部活の三年生」

笑いながら霧島がいった。

「お前らが必死に跪いて許しを乞う姿、楽しみにしてるぜ」

山本がニヤニヤと笑いながら言った。


去ってゆく『四天王』。

呆然と立つ先輩&後輩。

不意に後輩が言葉を漏らした。


「9月8日って、明日じゃん」