電話が切った先輩は、一息吐いてからこちらを見上げた。



「俺は、本気で聖奈が好きだ!
夏にある試合で、俺は引退する。
だからそこで勝てたら、もう一度、考えてくれ!聖奈の為に、必ず勝ってみせるから!」



「……はいっ」



真剣な先輩を、突っぱねる事が出来ずに頷いた。

弘瀬はベランダの柵に凭れ、帰って行く先輩に見向きもしなかった。



「…雨、止んだね…」



それだけを言って、私は部屋に戻って鞄を手にした。