このままでは、弘瀬が彼女を作ったら、指を銜えて見てるしか出来ない。

彼の左側は私の特等席のつもりで居るけど、失ってしまう。



「サンドイッチ買ってあるけど食べる?」



「聖奈が食べないなら食う。てか、半分は食えよ」



二切れの卵サンドの一つを弘瀬に渡して、私も雑誌を閉じて食べる。

広いのに、人が居ない車内。

なのに組んだ足の靴が弘瀬にぶつかる距離に居る私たち。