「走る?」



「聖奈が足速かったら、走ってただろうな」



…なっ、何!?

単純に弘瀬が速いだけで、私は遅いんじゃなくて普通なのに!



「止んだら無駄だし、1本で良いだろ?」



「…ありがとうっ」



ムッとしてた私を無視し、傘を買ってくれた弘瀬。

長い付き合いなのに、相合い傘なんて、初めてだ。

近距離に居る事は慣れてる。

だけど、相合い傘は何だか凄く緊張する。