タイルの壁に凭れて俯いてると、スカートのポケットに入れてる携帯が鳴り始めた。



「ちょっとごめんね?」



携帯を出し、画面も見ずに通話ボタンを押して出る。

買ってから1年の俗に言うガラケー。

手元を見なくても、操作が出来てしまう。



「もしもし」



『聖奈?家か?』



「弘瀬…」



今は話したくなかった相手。

理々葉が興味深げに私を見てる。