初恋の人―Hatsukoi no hito―

「――良いか小僧」



だけどお兄ちゃんは、構わず口を開いた。

それはそれは、低く恐ろしい声。

普段とは違い、何だかお弟子さんに注意するお父さんの声に似てる。



「二度と飛鳥に近付くな。そして、女を泣かすな」



「は、はい…っ!!;;」



その声に、ビビらないのは私たち家族だろう。

今は関係ない弘瀬まで、手に力がこもってる。

怯えて逃げる飛鳥の彼氏…、いや元カレ。

振り返ったお兄ちゃんは、ニコッと笑顔だ。