「お待たせ!」



「お前ね。良い加減、兄貴をアッシーにするな!」



「そう言いながら来て下さるお兄様が大好きですよ?」



「――“お兄様”…」



学習能力のないお兄ちゃんを、おだてるのは簡単。

目を見開き、嬉しそうに玄関へと向かうお兄ちゃん。

…単純過ぎるよ。

笑えもするし、呆れもする。

でも、最近よく思う。

私のお兄ちゃんが、このお兄ちゃんで良かった。