初恋の人―Hatsukoi no hito―

「聖奈はいつも、篠束を気遣ってたって知ってる?去年お弁当貰ったでしょ?あれだって一晩考えて、バランスを重視しながらも、篠束が試合で力を出るように作ってたんだよ」



「……」



「それが何よ!弘瀬を困らせないで!」



「それはこっちの台詞。聖奈を困らせたのは紗槻でしょ」



紗槻と松浦の言い合いを気にも止めず、頭を抱えた。

目を閉じると、走馬灯のように聖奈との時間が甦り、頭を駆け巡る。