初恋の人―Hatsukoi no hito―

「宜しければ、先にお支払いされますか?」



「あ…はい」



待合室の長椅子に座りボーッとしてると、受付の人が窓口から顔を出して来た。

財布を手に立ち上がり、会計を済ませる。

そろそろ、またタクシー呼んでおこう。



「お待たせ」



右手をギプスと三角巾で固定された弘瀬も出て来て、正面玄関の前でタクシーを待つ事に。



「行けよ」



それなのに、弘瀬がわけのわからない事を言い出した。