初恋の人―Hatsukoi no hito―

弘瀬が右手を使わないか、ヒヤヒヤとしてる私を他所に、先生がコートに戻らせた。



「良い雰囲気だったぞ!」



「ふっ、普通ですよ!;;」



…何、からかおうとしてくれてるの?;;

試合中に、良い雰囲気も何もないでしょ!;;

顔に熱を感じながら、ポジションに着いた弘瀬と目が合い、一つ頷いた。

…頑張れ…。

頑張って、弘瀬…。

私は、弘瀬が勝利して喜ぶ笑顔が見たいよ――…。