初恋の人―Hatsukoi no hito―

折り畳み式のバケツを広げ、水を入れに行く。

多めに氷を入れ、弘瀬の手首を冷やす。



「…あーっ!;;」



弘瀬が抜けた途端、試合の優勢があちらに向いた。



「左手使えるし、次にシュート決められたら戻る」



「右手首が腫れたらどうするの?しばらくはダメ」



「けどな?」



「弘瀬ッ!!」



聞き分けのない弘瀬に、ついつい怒鳴る。

…こっちの身にもなってよ。