初恋の人―Hatsukoi no hito―

開始時間のホイッスルが鳴り、私は先生の横に立ち、挨拶を交わすベンチ入り選手たちを見送る。

深く深呼吸をし、戻って来た弘瀬。

緊張が伝わって来る。



「いつもらしく、やれば良いんだよ。弘瀬なら、大丈夫だから…」



クーラーボックスから、アイシング用の氷が入った袋を一つ出して弘瀬の首裏を冷やしに行く。

弘瀬は緊張する時、何故か首裏に熱を持つらしい。

それは前に聞いた事があって知っていた。