初恋の人―Hatsukoi no hito―

「そのハンカチ!」



戻って来た私の手元を見た先生が、お弁当を片手に立ち上がって私と弘瀬を交互に見る。

気付かないフリをし、目が合った弘瀬を手招き。



「間違えて余分に作ったから、あげる」



「…サンキュー」



下を向いて、弘瀬にお弁当を渡して、先生の隣に隠れるように座る。



「これも青春だな」



「…たまたまです」



何となく、こうなるとわかってた。

……何て、口が避けても言わないから。