横断歩道の前で
赤信号が青に変るのを
柏木と二人並び待つ。
「斐川、駅、直ぐそこやろ?
ここで待っとき。
あっち行ったら、女帝に
絡まれるで(笑)」
「そうだな。」
この短時間で、どれだけ
あの二人に懐いているんだと、
思わずクスクス笑ってしまう。
国道を挟んだ反対側の歩道で
係長と師匠と順番に、
別れのハグを交わすカノジョを、
眺めていれば
信号が青に変わった。
「じゃあ、またな。」
柏木が、そういって
横断歩道を渡りだす。
反対側の歩道から
カノジョが横断歩道に向い
駆けてくる。
…案外、速く走れるのだな。
運動なんて苦手そうなのに。
ちょっと感心していれば
横断歩道の半ば、カノジョと
柏木が、少し言葉を交わした後
カノジョの身長に合わせた
低めの位置でハイタッチをして
お互いに進行方向に進む。
「お迎え、ありがとう♪」
そういって、
横断歩道を渡りきった
カノジョが、照れくさそうに
笑んだ。



