俺が、今日、ゴリゴリ行くのは
一つ決心して挑んでいるから。
レンちゃんに気持ちを伝えるのは、
今回が最初で最後やと決めてる。
だから、部長に見合いって形を
お願いしたんや。
俺も、何度無く伝えかけた気持ちを
無かった事にされる事も、
気づかないフリをされる事も
正直、そろそろ苦しいから。
もう、ハッキリさせたい。
お互いが、淡々と本音を
ぶつけ合う俺らの会話は、
青い空と緑と花の中で、
デートどころか、
ロマンティックから
かけ離れていく。
「事コレに関しちゃ、
君たちのお年頃は、
まだまだネバーランドの
住人なのだよ。
私たちの年齢になると、
建前と本音が見えてくるんだよ。
親世代の考え方も
理解できてくる。
キレイ事に隠された部分も
行先も見えて来るんだよ。」
こんな辛らつな意見が
返される事も想定してなかった
訳じゃない。
…想定より厳しくて
若干、泣きそうやけど…
それでも、本音で話してくれる
レンちゃんは、いつもと違う。
まるで諭すように、紡がれる言葉に
彼女は、こうやって、自分の中に
上司という核を形成してきたのかと
人生を歩んできたのかと思うと
その思想を融解させることなんて
不可能じゃないかと思ってしまう。
欲しい言葉は、
たった一つやのに。
それさえ聞かせてくれたら――――



