月曜日の終業直後の会議室で、
衝撃の見合い話を告げられ、
何も私が全く抵抗しなかった訳ではない。
“え?何で今更?
周りがバタバタ結婚していく頃
私がチョット立場ないなぁ…とか
思ってたときだって、部長は
そんな事言わなかったでしょ?
どこの物好きですか!?
絶対、おかしいですよね!?
部長、私の年齢お分かりですかぃ?
バツだらけの飲み友達ですか!?
どんな物好きに紹介すると
言うのですか?!”
“バカタレ。俺が自分の部下を
何の保証もできんような人間に
引き合わせると思ってるのか?
人物は保証する。
…多分間違いない。”
仕事に関係しないことであれば
適当なところで折れてくれる部長が、
珍しく、食い下がる。
つか、多分って何?!
多分ってなんだよ!?
最後は、駄々っ子ヨロシク
“絶対イヤダ”を絶叫したのだけど…
まさか、それを斐川君に
聞かれていたとは
思わなかったのだけど…
しかし…老舗ホテルってのは
みるからに内装も高価そうよね。
特にこのホテルは建築も
文化的価値があるとか
聞いた事がある。
「こら。音村。こっちだ。
迷子になるぞ。」
「あ、はい。」
とうとう、脱走ができない所まで
きてしまった。
溜息を一つこぼして
モフモフ感満載の絨毯を踏みしめ
私を待つ部長の傍へ足を進めた。



