やばい……心臓がうるさい…

香水だか何かしらないけど
いい香りするしーーー

必死に体裁を整えていると

「やっぱ、チェリ…」

通りすがりにボソッと呟いた
斐川の後頭部に、瞬間的に
係長の卓上にあった消ゴムを
ヒットさせる。

「痛ってぇなあ…」

現役退いたからって
俺の球速、なめんなよ!

「斐川がつまんないこと
ゆうからだろ。」

「じゃあ、純情野郎。」

そういって、俺の額に
消ゴムを命中させる。

痛えぇ…

フルパワーで
投げてこなかっただけ
ホメテやるがーーーー

…そもそも、斐川のヤローッ。
コイツ、俺より一歳下だろが。
誰が野郎だ、誰が。

「こら、2号に3号。
お前たち、やる気がないのかっ!」

パコッ。パコッ。

俺の後頭部と、斐川の額に
一撃ずつ見舞ったのは、音村係長で。