ああ…

柔らかい…

そして…


掌と首、そして全身で感じる
体温に揺さぶられる心を…





「おかえり。ボーズ共…
その手を離してもらおうか。」

そんな声が、容赦なく俺の思考を
断ち切り、神島と共に抱きしめる様に
首に回された腕が、引き剥がされた。


「俺の音村に気安く触るな。」

不機嫌な表情マックスな佐藤係長に
引き剥がされた音村係長は
素足のせいか、記憶の中の彼女より
随分小さくて、手首を頭より高い位置で
拘束されているせいか…まるで…


「その音村を、捕獲された宇宙人の様に
気安く見世物にするな。テルテルよ。」 

まさしく、脳裏に描いたそれと
同じ描写を述べて唇をとがらせる
音村係長に、自分が帰るべき場所は
やはりここだったのだと妙に痛感した。


それと共に…一つの懸念が
胸を貫く。

…今…否定しなかったよな…

佐藤係長が言った
“俺の音村”…と、いう台詞を…。


まさか…

そうなのか?

…収まるべき所へ
おさまったという事なのか?