でも
「…ホントは、わかってんだろ?
そんな生産性も効率も無いこと
通らないって。」
タバコの煙を吐き出しながら
テルテルが私を嗜める。
「わかってる。」
分かってるからこそ、
最後の最後まで悩んでいる。
「それに部長が判断したんだぞ。
柏木を転籍させるって。
それが、アイツの意志であり、
法人としての収益にも
長い目で見た場合繋がるって。」
部長からも言われた。
“柏木が、たまたま出向先で
自分が興味を持ちだした分野に
特化した業態に出会って
転籍を希望した。それが
たまたま入社した年だった。
それだけの事だよ。”
そうなんだよ。
その、スピード感に驚くんだ。
業務に携わりだした所だよ?
もう、次を考えているの?って。
“アイツの性格なら、早かれ
遅かれ、その分野に方向転換
していた。
その時に、うちのノウハウやら
様々な企業の情報や伝手を
持ち出されるくらいなら、早い内に
統合先に転籍させるほうが良い。”
「わかってるよ…」
わかってるんだけど
頭が付いて行かないんだよ。



