『分かっていると思うけど
人生は長いよ?折角、アントニオが
いい医者見つけて来たんだぞ。
アメリカに居る内に治しておけよ。』
いや、俺にとっては、自分の膝より
延長された1年間で、レンちゃんを
攫われる方が堪える。
『陽一郎、レンとの未来を
手にするなら、尚更、膝の治療は
必要だ。お前、その膝で、老後
彼女に寄り添えるのか?
突っ走るのも若さだけどな。
本当にその気なら、現実的な
未来をプレゼンテーション
出来る様に、準備することだ。』
必死に打算する俺に、リヒトは
そうダメだしする。
そもそも、更に1年、レンちゃんに
会えないとか泣きそうやねんけど…
『陽一郎、オールオアナッシングだ。
レンを俺に託す未来を選ぶのか
お前自身がレンを導く未来を選ぶか、
その二択だよ。』
『…リヒトより、テルテルの方が
強敵やねんけど。』
…年齢もキャリアも…
だから、せめてキャリアに匹敵する
スキルを身につけるべく、
俺はこちらへ転籍を決めたのだが。
『テルテル…?ああ。佐藤な。
確かに、あいつは強敵だな。
奴は、俺に並ぶ。あんまり
日本人を警戒したことないけど
佐藤はヤバイな。』



