『良い医師が見つかった。
ヨウイチロウの膝は、
根本的に治した方がいい。

トレーニングレシピは
優れているけど…

まだ、彼は若いし。
今ならキチンと治せる。

それに、彼は良い選手だ。』


彼なりに
悔いているのだろうか。

…あの時、俺たちの身に
降りかかった出来事を。


『ふーん。アイツが
あんたの言うこと素直に
聞くように思えないけど。』


柏木は、…当然、俺も
コイツらに対して
良い感情は持てずにいる。


『だから、拉致るんだよ(笑)

って訳で、ゲームの方頼むよ。
凄くオモシロイはずだから。

うちのコートで約束してる。』


“うちのコート”

リヒトを含め、ここの社員は
バスケ経験者が多くて、
福利厚生の名の元
フルサイズのコートを
作ってしまったらしい。

…つうか、従業員も、
リヒトの顔効きの所為か
元プロも普通にいる。


そもそも、スポーツだけ
超越した能力があれば
評価される日本の養成の仕方は
俺は、個人的に疑問がある。


海外のクラブ所属の養成選手は
文武両道が求められる事が
しばしばだと聞くし
実際そういう選手も多い。 


つまり、リヒトを含む
ここの従業員は、
バスケだけでなく、学問も
きちんと習得しているんだ。


社内でよくゲームするけど
経験値も技術も半端なくて
斐川の練習相手にも困らない。

そんな彼らは、合理的な
発想をする。