『では、一課の3人の前途を
祝して、最後に乾杯っ!!』


宴もたけなわになった頃
啓太の音頭で、3人に手向けた
締めの乾杯の為グラスを掲げた。

…締めにまだ呑むなど
うちの会社くらいだろう。
いや、そんな事は
この際、どうでもいい。

なんというか…
明日から、この子達の顔が
見られないんだ…と、思うと
涙腺が緩みそうになる。


何たる哀愁…

泣くなよ。レンちゃん。


笑って送り出してやるんだ。
笑顔で行かせてやるんだ。

そう自分に暗示をかける程
涙腺に負担がかかる。

涙をグッと堪え、靴を履き
お店の前で、タクシーに
乗り込む部長を見送る。

ギリギリまで三匹は
部長に頭を下げ、
何を激励されているのか
何度もウンウン頷いている。


「レンちゃん。泣くなよ。
真月がビール一箱担いで
これからレンちゃん家に
飲み明かしに行くって
ゆってっから。」


苦笑混じりに、啓太が言う。


なまじっか付き合いが
長いだけに、レン様の
取り扱いに長けている。


サンキュー、啓太。
行き届いているぞ。


…それから、啓太

キミの眼もウルウルしてるから。