「…っで、俺には

言うな…と?」



そんな事をいう男では
ないと言う事等
わかっていながら。


今の自分が、そうした所で
受け止めて等もらえないと
わかっていながら。


チビッコの真意を
引き摺り出すが為に
カマをかける。


…カマっちうのは
こうやってかけるんやで?




「…違う。いや、違わない。

…俺は、…置いて行かれるヒトの
身になってあげてよって…


そう、思っちゃうから。


レンちゃんに、特別な誰かが
いるかどうかなんてしらない。

誰かに想いを寄せてるか…?
なんて、知らない。



でも、…万が一…“好き”な人に
“好き”って言われたとしたら


両思いだってわかったのに
送り出さなきゃならない事が
わかっていて…

それを認められないとしたら。」



言葉に言い淀み、
俯いたチビッコの
手の甲に水滴がはじける。


“レンちゃんは、
どうやって、そのヒトを
待てばいいの?”


絞り出すように小声で言った
チビッコの隣に座りなおす。



「…言うつもり、ないよ。」



…そうしたいけど

こんな風に、レンちゃんを
心配して支える姿を見せられて
できる訳ないやろう。



「でも、帰ってきたら言うから。

…それまでに、誰かのモンに
なってたら、監督不行き届きで
お前、シバキタオスからな。」


そう、宣言すれば。


「何故ゆえにっ?!
…つうか、俺、一応、先輩よ?」


そう苦笑しながら、
俺の身体を盾にして
その小さい先輩は
おしぼりで目頭を
コッソリと押さえていた。