「お前が、ウジウジしてる間に
総務には、もう、行っておいた。
さっさと戻って仕事するぞ。」
俺の目の前で会議室の鍵を
フルフルっと揺する。
どうやら、俺が
壁と同化している間に
先輩からの託けを
済ませてくれたらしい。
…柏木といい、神島といい…
上司達といい…
俺に甘すぎる。
…踏み出す事を、躊躇
してしまうじゃないか。
いや、ダメだ。
俺は、前に…進むんだ。
皆の想いを無駄にしてしまう。
でも…
…どうしても
音村係長からの
答えが聞きたい。
たとえ、それが
自分にとって
芳しくない答えであっても。
未練なんて真っ平だ。
「…よし…」
聞き出して、ムコウに行く。
改めて決意をして
神島の背中を追いかけた。