『斐川くん、ハイ、これ。』


それから数日後の某カフェにて
啓太から紙切れを受け取る。


『これは…?』

『今週から、早速、レッスン
開始だって。…俺も一緒に
やることになった。』

英会話のレッスン予定日時を
記したメモを眺めながら
今にも泣き出しそうな声で
啓太は、そう告げた。


『…何で?』

『…皆が…1人も
帰って来なかったら
誰がレンちゃんを助けるの?
…って。御尤もな俺の初心を
つきつけられて。断れなかった。』


…1人も…

流石にそれは無いだろう。

でも…

可能性は、ゼロではない。

だって、俺たち誰1人として
諦めてなどいないのだから。

…だから

『それは、御愁傷様。』

そう軽口を返すほか
なかった。


それからは、週末どころか
平日までもが鬼の課題攻めで
正直ぶっ倒れるかと思った。


メールで出される課題に
回答を作文して返すだけ
なのだけれども。

平日はもっぱら日常会話で、
別に週末向けに、
ビジネス英語の課題を提示され、
それを必死にやる訳だ。

当然、仕事とバスケもあるの
だから、本当に、シャレに
ならない時間だった。