『何でレンちゃんに
頼まないかなぁ?斐川くんは。
そんなんぢゃ、間に合わないよ?』


流石に、そろそろ屋上も寒い為
昼食後のカフェのテーブルで、
相変わらず大学の課題に
取り組みながら、啓太が言う。


…頼まないのではない。


…物事の優先順位の判断を
誤ってしまい、言い出せなく
なってしまったのだ。

告白なんて…してしまったから。


音村係長は、何もなかった様に
接してくれているが、
それすらも、キズついてしまうし
何よりも、自分自身が気まずい。



そして、そんな事が理由などと
志しの高い先輩でもある友人に
正直、話せないのだ。


『あんなに忙しい人なのに
こんな個人的な自己啓発に等
付き合ってもらうなんて
出来ない。』

何とか、最もらしく聞こえる
理由を紡ぎ出せば

『分かった。俺が、英語
得意な人、見つけてあげる。』


“心当たりはあるんだよね”等と
言いながら、奴はスマホを
触りだしたのだった。