「…ヤバいな…。」


ベッドに腰掛けたまま
膝を摩る。


昨日、あの後、斐川と行った
1×1の所為では無いと
思いたいが…


膝が…痛い。


仕事くらいは、支障ないと
思うけど。

走るのは、無理やな。
違和感の塊…

神島のカノジョにも
キツく止められていたのに…


日中のテルテルとの
運転手争奪戦との負担が
まともに来てるのか、
練習など、とてもじゃないが
できそうにない。


自分の所為であることを
重々承知しているから
誰かに当たる訳にもいかん。


渋々、スマホを取り上げ
神島に、都合で練習に行けない
旨を告げる。


『…なあ、柏木。

まさかだと思うけど…
昨日のアレ、膝に来たとか
言わねえよなぁ?』


…アレって…どっちやろ…。


まあ、下手な事は、言わんに
越した事はない。


「ん?違うよ。」


シレ〜っと
誤魔化した言葉に


『何やったのよっ!?
取り上えず、来なさい!!』


キンキンの女の子の
声が被さる。(苦笑)


…あかん…どやされる。



かつて…カノジョの
スパルタ振りを、気の毒に
思いながら、静観していた俺は
まさか、自分がその立場になる等
当然想像もしておらず…


「俺、レンちゃんの声が
聴きたいんやけどな…

…つか、行きたくないなぁ…」


既に待受状態になった画面を
眺めながら、気まずい半笑いを
浮かべた。