…あんた、いくつだよ?!


そう問いたくなるのは、
俺たちと運転手争奪戦に
参加しているから…
だけではなく。

その遣り口と、真剣さ、
そして瞬発力。


学生を卒業してからの年数を
考えれば、尋常じゃない。

このヒト、何かトレーニング
やってんだろうか?


1メートル程後ろから、
係長の投げたキーに向かって
3人で地面を蹴る。


『…クソッ!!』


柏木が俺たちを振り切り
佐藤係長と並ぶ。


20メートル程先に駐車された
社用車のそばに落ちたキーに
向かい、2人はフルパワーで
爆走する。


勝敗は、2人のうちどちらか…


諦めて脚を止め、
肩で息をつく斐川と共に
行方を見守る。

随分、思い切って投げたな。

脚力で距離を稼ごうって
作戦なんだろう。

俺や斐川より、瞬発力に
長ける柏木だからこそ、
佐藤係長に追いつけた。

そのくらい、上司は
見事なダッシュを見せた。


あと、数メートル