『音村か?具合は、どうだ?』

「部長っ。」

入社間もなくから、まだまだ
ヒヨコだった私とテルテルを、
厳しくも温かく見守って
来てくれた、第2の父的存在。

遠慮無く、病院に連れて行って
欲しいと嘆願する。
何せ、足が無い上、
車も持ってないものだから
独り身で、腰をいわせたとなると
不便なことこの上ない。

これから、拾いに行ってやると
電話を切った部長に、ホッと
一息をついたのだった。

真月さんのダンナは演奏旅行に
出張していて頼めないし、
透と真月さん本人も、
これからライヴだし。
啓太も都合がつかなくて
困っていた所だから。

「レンちゃん、ご飯作って
おいたけど、冷凍しとこうか?」


「やったあ✨その上に
小分け用のタッパーが
ございますので、存分に
御利用くだされ。」


これで、最悪、数日
引きこもりの刑になっても
やり過ごせる✨

「そうだ。着替えないと…」

流石にジャージのままじゃ
気がひける。
椅子からソロッと立ち上がり
クローゼットに向かい
ヨロヨロと歩き始めた。