「山崎リヒト…だっけ?
アイツ、圧力とか通用する
タイプかなぁ?」

…テルテルよ。
あんた…オーラが
ドス黒いのよ。

「…会長のムスコだよ?
一筋縄でいくわけないぢゃん。」

何回、エライ目見てきたよ…
それに、リヒトは…

「大体、あの体格なんだよ。
運動神経も良かったし、
闇討ちなんざ通用すっかよ。」

「はっ?!ヤミうちっ?!」

隣で枝豆をつまむオトコが
物凄い勢いで、こちらを見る。

「何よ?テルテルの分際で
正面切って、殴り込みかける
つもりだったの?」


柏木くん程ではないとはいえ、
このオトコも、相当計算に
長けている。


無策で特攻を切るタイプでは
ない。でも…


「…そういやあ…」

言葉を切ったテルテルが
煙草をくわえ手元のマッチをすり
火をつける。

「ん?」

一本分けろと、催促するよう
掌を合図に上向ければ
その掌を彼は握り呟いた。


「…正面から、ぶっこんで
なかったな…今回。」