斐川のーーー
眼差しの強さが
変わった事に


係長は、気づいただろうか?


単にーーー
勝ちたいだけなのか…

これまでのゲームを通して
何か、心境に変化があったのか…



俺はーーー

…斐川に、やってほしいと思う。


俺や柏木には
出来なかった事…

俺達には、足りなかった何かを
斐川は、持っているから。


他人の人生だけど…
考え方だけど…

もったいない…って
思うから。



そのために、
協力できる何かがあるなら
惜しまないつもりだ。



何となく係長の居る方へ
視線を送る。


交わった眼差しが、優しい。


“ガンバレ”


仕事中、決して
彼女は口にしない言葉ーーー

ここでは、言ってくれるんだな。
了解の意思表示に、
拳をつきあげる。

ニッと笑って、係長も
同じように返してくれた。