…俺は、ホントのところ…
どうしたいと思ってる?
“オマエ達、次、ゲームだけど
どうする?順番変わるか?”
汗まみれで床に転がる俺達を
見下ろし、天野主将が苦笑を
混じりに、柏木に調整を
問うている。
“昔は、こんな状態で、
試合…こなしてたのになあ…
結構、堪えるなぁ。
やっぱり鈍ってるんやわ。
カラダ…”
荒い呼吸のままボヤく柏木の声
“あと少し休ませてくれ…”
眼鏡をはずし、Tシャツの裾で
汗を拭い、弱音をはく神島の声
喧騒の中で聞こえる同僚の声
俺は…どうしたい?
…ホントは
もう、俺自身
答えを見つけているのじゃ
ないのか?
立ち上がり、観覧席を見上げる。
俺を視界に捕らえた彼女が
徐に立ちあがり落下防止柵に
近づき、俺も重い体を動かし、
何とか係長の声を拾える距離へ
歩みを進めれば
彼女は、ただ、
「全部任せな。全力でいけ!」
笑みを浮かべて
そういった。



