「あとは、任せた。1号」

そういって、レンちゃんは、
こっちに苦笑を向ける。

自分がこの場に
居るべきではないという
判断をしたんやな。

「了解。」

俺の肩をポンとたたき
開いた鉄扉を潜る前に
レンちゃんは、
俺たちに視線を送り
口を開く。

「ここにいる柏木も、
神島も私の部下は、
あと数年すれば間違いなく、
デキルオトコになる。
もちろん…斐川も、ね。

コイツらは、私の歴代の
後輩連中の中でも
例を見ない優良物件になる。

でも、その時に、あんたは…
今のままじゃ選ばれない。
もっと自分を磨くんだね。
“最下層の、今のうちにな。”」

レンちゃんの
渾身の嫌味と
蔑んだ笑みーーー

…俺は、知ってる。

逆襲する意志を枯渇させる
最後の仕上げの為に
致命傷を見舞ってるって。

あの日の会議の時と一緒やろ。

…神島をーーー
全力で守ったあの時と…