『レンが来たかったのって…

…ここ?』

『…そうよ。』

車から降り立ち
目の前にそびえ立つ建物を
みあげる。

『…なんか…想像以上に
立派な建物だわ…』

『…近代美術館?』

いいえ。体育館です(笑)

『ここ…?ねぇ…レンって
運動神経いいの…?』

そういって微妙な眼差しを
注いでくるオトコに

『…あんた…
何がいいたいっ?!』

白い目を向ければ

『“あんた”じゃなくて
“理人(リヒト)”だよ。レン。
さっ。いこうぜっ♪』

ひょうひょうと言って
彼は私の手をひき
入り口に向かい歩き始める。

『バスケかぁ。
レンは多趣味だね。』

扉の隙間から見える
アップ中の風景にリヒトが
口笛を鳴らす。

『私はよくわからないの。
でも、私の後輩が3人
ここで試合するらしくて
見に来たの。』

どこから見るかも
誰かに声をかけるべきかも
わからずキョロキョロする私に
リヒトが繋いだ手を引いて
二階に向かう階段に誘う。