ーーーそもそも……

音楽って…楽しいのか?

バスケの様な明確な勝敗に
該当する賛否…基準もない。

感覚だけで判断されるものだ。

…そんなものが
係長も啓太も…
楽しいのだろうか?

そもそもーーー

俺って…バスケ以外に
趣味的なものがあるのか?

いや…俺にとっては
バスケは趣味なんて位置にない。

もっと重いポジションだ。


ーー今、気づいたが…

俺の世界って…
狭すぎやしないだろうか?

他の世界も覗いてみたい。

「啓太、そのチケット…
残り何枚あるんだ?」

「三枚だよ。あとちょっと
なんだ。」

ドングリみたいな丸い目を
細めて笑う。


「それ、俺が買うよ。」

確か、係長は俺たちの試合を
見に来るっていっていた。

つまりは、そのライブと
日にちは重なって
いないって事だーーー

「でも…興味ないんでしょ?
悪いよ。それにレンちゃんから
斐川くんや皆には売るなって
言われてるし…」