ーーーあの男が、さっき
ゆうとったんは
このことやったんかーーー

「この案件はーーー

3年前、私と音村が
我が社の生産性の向上のため
精査していたものです。

…当時は、若い企業で
経営が見通せず
断念しましたが。」


ーーこの2人

…そうとう
異端児やったんやろな。

自分の勤める会社を
経営側が提案するなら
まだしもーー

一般社員が事業統合
検討するなんてーーー

「…それだけ、ツブシが
キツかった訳か。」

資料の内容に
どよめく室内に
自分の声が溶けた。

「…この資料には
企業名がないね。
どこの企業だい?」

会長が尋ねる。

レンちゃんが
二ッと口角をひきあげ
その社名を口にしたーーーー