「…でもーーー

今の話が、本当やったら…

うちの会社の風潮を見る限り…
“THEオンナ”っちう風情の奴に
負ける方が、心折れるわなぁ…。」

思わず呟いてしまい
やってしまった…と
内心、小さく舌打ちする。

“ぷっ。”

目の前でオッサンが
ゲラゲラ笑いだした。

黙ってたら、オンナが
寄ってきそうなタイプやのに
その破顔は、あかんやろ…

「柏木、お前、面白れぇな。
先が楽しみな奴だな。
俺も、ソレ、同感だ。」

その言葉に、案外
レンちゃんは策士やと
認識する。

ーーー身に覚えは、ある。

何回も、ハニートラップ
いなされとるしな。

「柏木より策士な人間が
そうそう居てくれては、
たまらない。一人で十分だ。」

斐川が会議室の扉を開けながら
タメイキ混じりに呟いた。

「まぁ、心配するな。斐川。
音村は策士か単なる天然か、
どっちかだ。」

フォローになるのかわからない
微妙な発言を吐き出し
オッサンは、斐川に続いた。