それにーーー
「神島が、そんな話するなんて
珍しいな。」
聞かれれば答えるだろうが…
思わず心の声が出てしまって
「ああ、昨日残業後に
皆が運動始めたんだなって
思ったって話から伏線でね。」
・・・残業?
入力を終えたら
すぐ帰れるって
いってたのに。
何かあったのだろうか?
「斐川くんてーーー
よく見ていたら気づいたけど
案外、表情にでるよね。
ポーカーフェイスだと
思いきや。」
・・・・えっ…?
「心配なんでしょ?
神島くんの事。」
「いえ…」
苦し紛れの否定をする。
俺は…そんなに
感情が駄々漏れなのか…?
「いじっぱり。」
クスッと笑って
係長が、形の良い長い指を
俺の前髪へ向け、のばす。
「心配いらないよ。」
そういって、ポンポンと
髪を撫でてくれてーーー
たったそれだけの事が
とても気持ちよくて
スッと目蓋を下ろした。



