扉にもたれ立ち、
眠そうに欠伸をする上司に
歩み寄る。

「おはようございます。」

「えっ…斐川くん?!
早くない?あ。そっかぁ。
おはよう。」

昨日、最寄りの駅で
一旦別れる際に、早朝ジムに
通っていると話したから
それを思い出したのだろう。

……まあ、話した時
この人は、全く驚かなかったが。

それどころか一言

『朝ジムとは思わなかったけど
運動始めた事は知ってたよ。』

そう言った。


「皆、仕事中欠伸もしないで
えらいよねぇ。
運動したら眠くなるでしょ。」

私は欠伸しまくってるけど~と
彼女は笑う。
確かに、よく欠伸を
かみ殺しているのをみかける。

「今は、体を動かしてる位だから
そんなに疲れないです。」

そう答えれば

「やっぱ歳かなあ。
私なんか小一時間唄ったら
眠くなるというのに。」

と、唇をとがらせる。


「そういえば…あの時
ギターケース抱えた集団と
一緒だったけど…
何かやってたんですか?」

“歌”で、気になっていた事を
思い出した。