【完】もう一度、音を愛す。








「兄貴、その不機嫌さは
 演奏することから来てんのか?」


「違う違う、望。
 ただのやきもちよ。

 おもしろいから愛音には
 教えてないけど。」


「・・・悪いかよ。

 響子も分かっててやるから
 意地が悪いよな。
 なんで愛音を男と二人きりで
 練習させるかな。

 亮太の野郎、気に食わない。
 いくら無害であったとしても。」



「我が兄貴は独占欲強いのね。」


「じゃなきゃ、演奏会も受けねえよ。」