【完】もう一度、音を愛す。








「昔、しつこいぐらい俺をプロに誘った
 人が審査員にいるんだって。

 あいつのしつこさが衰えてなかったんだよ。」


「だから今度の文化祭は
 音楽界の権力者がかなり参加する。

 一種のコンテストの様なものに
 なるわね。」


「・・・私のせいなんだ。」


「愛音のせいじゃないんだ!
 だからそんな顔するなって。」



そんなこと言ってもさ
私のせいじゃん。

幸兄のそのテンションの低さ。


「それを嗅ぎ付けて、マスコミも
 来るの。」


「だから愛音は演奏会の時は
 絶対目立つな。」


「なんで?」


「愛音の存在はまだ
 マスコミはとらえてないんだ。」


「まだ愛音ちゃんを
 世間にさらせないって幸人が。」