【完】もう一度、音を愛す。








「十月の文化祭で、
 ピアノを弾くことになった。」


「先生だから普通じゃないの?」


「いつもとは事情が違うんだ。」


「だから私が来たわけなのよ。

 今度の文化祭、音楽教師としてではなく
 コンクールで名を馳せた早坂幸人
 として弾かなくちゃならないのよ。」


「は!?
 たかが高校の文化祭で?」


「愛音ちゃんが出るコンクールの
 審査員たちが、
 お仲間連れて聴きに来るのよ。」


「・・・天才少女の今を見るため?」


「それは阻止したら、
 担任教師の素性まで知れちゃってね~。」