「もう先弾いてよう!

 遅いんだもん、幸兄。」



待ちくたびれた私は、
言いつけを破ることにした。



久しぶりに
ピアノの前に座る。

蓋を開ける。



「懐かしい・・・。」



不思議と感覚が戻ってくるような感じと
弾きたいという衝動が湧き上がってくる。



試しに私は
ドの音を鳴らしてみた。