「響子さん、私 その大会に出る。」 『愛音!?』 皆信じられないという顔だ。 自分だって半分 信じてないから無理もない。 「そう。 愛音ちゃん、あなたは 事件の被害者でもあるし 天才少女と騒がれてもいた。 今回出るとなったら マスコミは黙っていないでしょう。 覚悟はある?」 「そんなもの、百も承知。 夢を思い出したんだもん。 きっかけをみすみす 逃がしたくなんてない。 響子ねぇ、手続きしてくれる。」 私はもう決めたの。 もう一回、ピアノを弾くって。 もう逃げない。