【完】もう一度、音を愛す。








「何をする気だ、と思った。

 案の定、とんでもない事を
 してくれたけどな!」


そういって響子さんを睨み付けた。



「そうだ、兄貴のいう通り。

 俺達はあの惨状を見たはずだ。

 目の前でまななんは気を失って、
 次に目が覚めた病院じゃ
 何も覚えてなかった。」



「自分の事も、私たちの事も、
 家族の事も、事件の事も、ピアノの事も。

 ・・・私たちは病院で
 愛音を守るって誓った。」




二人とも。



ああ、私はこんなに
皆に守られていたのか。


だから今まで思いだしてこなかったのか。