少し苦笑いをしながら頷くオレを見てそうだよ!と嬉しそうに言う。


そして誰かが来るまでいろいろな話をした。


先生のアダナを考えてみたり。


来月あるマラソン大会のことについてあつく自分の意見を言い合ったりもした。


家族の話題になるとお互いが暗い顔をする。


「修也君って何人家族?」


自分に家族の話題を聞かれたくないのか、三浦百子がオレに聞いてくる。


「オレ?四人家族だった。」


「‥だった?」


「あぁ、皆自殺して今は一人暮らし。」


思っていなかった言葉がかえってきたのだろう、三浦百子が動揺していた。


「そうだったんだ‥ゴメンね、聞いちゃダメだったよね。」


「いや、謝らなくてもいいよ、でも独りではないなー‥ネコがいるし。」


「え!ネコ!?」

 
パァッと明るくなる三浦百子をみる限りネコが好きだということがわかる。


あっという間に時間が過ぎていった。


三浦百子と話していると今オレがしていることの罪悪感がなくなって気持ちが楽になる。


未来と話している時とは別の特別な感情‥。


暖かくて、ホッとできてるような‥。


オレはこの感情を知っている。


だがその気持ちを今伝えることは出来ない。


もし言ってしまったらオレは家族への想いを忘れてしまう気がしたから。


だからオレはこの気持ちを心の奥深くへやり、普段と変わらずあまり感情も感じないようにし、すぐ家へと帰った。


この時、オレはまた失うことになるとは思ってもいなかった。