このドアを開けることが出来ないのか!


針金さえあればドアを開けることが出来るかもしれない。


「‥あの傘‥そうか!」


急いであのゴミ入れの所へ行き壊れたビニール傘を取りに行く。


急ぎすぎて靴に履き替えないまま行ってしまった。


そんなこと今はどうだっていい。


今やることはドアを開けることだ。


そしてビニール傘の金属を利用して教室のカギ穴に差し込む。


意外に固く、曲げるとき指が痛い。


なんども形を変えながら差し込むとやっとドアが開いた。


ネコバッグを投げ捨て、女子生徒を起こす。


「おい!大丈夫なのかってお前は‥!」


顔を見ると三浦百子だった。


「ちょっと聞こえるか!三浦さん!!おい!!」


何度も体を揺さぶるが反応はない。


ペシペシと頬を叩き、声をかけ続ける。


だがいまだに起きる気配さえ感じない。


「お‥い、ウソだろ‥?」


あの記憶が頭の中で再生される。


もうあんな想いは‥。